今回はNO YOUTH NO JAPAN代表の能條桃子さんと学生団体ivote元代表の別木萌果さんインタビューさせていただきました。お二人は現在Twitterライブにて政治をゆるく語る「ももべっきゆるトーク」を毎週金曜配信されており、本記事ではこちらの企画にフォーカスしながら、若者の政治参画について伺います。
(ももべっきゆるトーク アーカイブはこちら)
「若者×政治」界を牽引する二人の女性
ーーまずは簡単に自己紹介をお願いします!
(以下、別木萌果さん=別木、能條桃子さん=能條)
別木 岡山大学大学院修士課程1年の別木萌果(べっきもえか)です。教育学研究科というところに所属しており、主権者教育について研究しています。今は新型コロナの影響もあり、一部の授業だけ対面授業で、普段は大阪に住んでいるため岡山と大阪を行き来している感じです。
能條 慶應義塾大学経済学部4年の能條桃子(のうじょうももこ)です。現在学外で、一般社団法人NO YOUTH NO JAPANの代表を務めています。この団体は2019年参議院議員選挙の際、Instagramを中心に政治に関する情報を分かりやすく発信するために立ち上げ、2020年7月に一般社団法人化しました。最近では地方選挙の投票率向上に取り組んだり、政治家と1週間に1回インスタライブを実施するといった活動をしています。このような感じで学業とNO YOUTH NO JAPANの活動を中心に行っています。
ーー「若者✖️政治」の界隈では非常に有名な方々なので、今回インタビューできて嬉しい限りです!お二人は昔から知り合いだったのでしょうか?
別木 いや、むしろTwitterライブまで全然お互いを知らなくて。数回イベントで会ったことがあるくらいかな?
能條 そうですね、昔からお互い似ているなあとは思ってましたが、実際に知り合ったのは意外と最近で。1年前、昭和女子大のプログラムに登壇した時、初めて会いました。2回目が政党学生部のイベントの時でしたが、女性陣が私たち2人だけで、ずっと固まっていたよね。
別木 そうそう、あの時は男女間の政治トークの温度感が全然違いました。男性の参加者は結構がっつりと議論するテンションでしたが、私たちはもう少しゆるいテンションで話したかったので、そういう機会があるといいなあと思っていましたね。
ーー実際に出会ったのは最近なんですね!少し意外です。今どのような政治や社会問題に関心がありますか?
別木 私は主権者教育が専攻なのでこの分野は普段から注目しています。また将来的に学校の教員になりたいと思っていますが、先生業界はすごくブラックという事情もあり、教員の働き方改革にも関心があります。専攻以外だとジェンダー論や性教育ですね。特に私は結婚した時、別木という苗字を変えなくてもよくなればいいなあと思っているので、夫婦別姓には昔から興味がありました。
能條 私は若者の政治参加などに興味がありますが、ジェンダーや気候変動にも注目しており、特に最近議論が進んでいるエネルギー計画が気になります。2030年までに、火力、水力、原発、再生可能エネルギーの配分をどうするかが議論されていて、原発の議論も気になりますし、気候変動の観点からもその論点は注目しています。どちらも若い世代のニーズが高いと思いますが、若者の政治参加が進んでいないので政策実現に至っていません。そういった背景からこの2つのトピックには関心があります。
ーージェンダー論が共通していますね。一緒に議論したりすることはありますか?
別木 凄くします!普段雑談するときも、気を抜くフェミニストの集まりみたいになる笑。それ以外の話題も頑張って探してますが、あまり共通の趣味とかはないんですよね。
能條 ジェンダー論の話はよくするね。この前も映画「82年生まれ、キム・ジヨン」をきっかけにジェンダーの話をしました。
ーー日常的に政治の話をされていますが、政治家になってみたいといった意欲はありますか?
別木 できるだけなりたくない…社会を変える最終手段として捉えています。
能條 そうですね、社会問題や政策には関心がありますが、政治家だったり、政治のシステムとかはあまりよく分からないことが多いです。ただそういうことを知らなくても、政治について楽しく、気軽に話せるということは伝えていきたいですね。
政治を楽しく語る場が求められている
ーー「ももべっきゆるトーク」について聞かせてください!この企画に至った経緯などはありますか?
能條 先ほども触れた通り、政治について楽しく話すロールモデルが必要だと考えていました。政治について話しているとケンカしてそうとか、楽しくなさそうとか、何かネガティブなイメージがありますよね。でも私たちのようにゆるく語ることはできるし、きっと共感もあると思いTwitterライブをやろうと呼びかけてみました。
ーー別木さんはこれを聞いてどう思いましたか?
別木 この企画を初めて聞いた時、結構びっくりしました。少し大袈裟にも感じ、配信するほどなのかと思っていましたが、楽しそうだし政治について語れることもあってやってみることにしました。もちろん政治に関心を持ってほしいという啓発としての目的もありますが、何より自分たちもやってて楽しめていることがこの企画の醍醐味です。
ーーよくライブを拝見させてもらっていますが、確かにシンプルに会話を楽しんでいる姿が印象的です。
別木 念入りに企画して発信するというよりかは、基本準備せずにその場のアドリブでやっていますからね。ただ2人とも苦手なテーマだと大変なことになります笑。
能條 アメリカ大統領選とかヤバかったね。ほとんど日本の話して終わったね…。
別木 総裁選の時も、そもそもどうやって選ぶんだっけ?ってところから始まったね。
能條 でもこうやって調べるところから始めるのはある意味新しいと思います笑。
ーー気軽に参加したり、考えるきっかけを与えるという点では、ゆるい会話というのもすごく大事でしょうね。
別木 ただ私たちが避けている分野もあります。例えば安全保障とか外交とか。
能條 ゲストとか招待すればいけそうな感じもしますが、自分たちで解説するとなると厳しそうですね…。まあ私たち側が習ったり、学ぶコーナーがあってもいいかもしれないですね。身近なテーマではないほど、それに対するハードルも高くなる面もあると思います。
Twitterライブをやって気づいたこと
ーーTwitterライブの反響はいかがでしょう?影響力あるお二人となるとなんだか凄そうな感じがします。
別木 色んな人が見てくれたり、リプをくれたりします。女性議員の招待した時は、再生回数3000回を超えた回もありました。
能條 そんな再生されてたんだ!あんまり再生回数とか確認してなかった笑。確認してないくらい再生回数は気にしてなかったですが、目的は何人に届けるということではないので。
ーー大反響ですね!今までで印象的だった回はありますか?
別木 やはり女性議員の方を招待した回は面白かったですね。色んな発見があったと思います。
能條 5人の議員さんと話すことができたのは貴重でしたし、一括りで女性政治家といっても、色んな政治家がいて結構違うんだなあと新鮮でした。もし自分が女性じゃなかったら、あるいは日本のジェンダー平等が実現されていれば政治家にならなかっただろうなあと思う人もいれば、そうではなくても政治家になっていたんだろうと思う人もいて。自分が女性であることが、政治家になる動機に直結している人としていない人がいるのは、私自身が前者をイメージしていたのでとても興味深かったですね。
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ーー女性の中でも色んなバックグラウンドがあることを改めて認識しなければなりませんね。
別木 政治家に対するイメージのギャップにも驚かされました。例えば橋本ゆきさんとの回。彼女はアイドルか渋谷区の議員になった方です。アイドルと政治って一見全く違う業種に思えますが、ファンやサポートしてくれる人たちに裏表なく常に誠実で自分の信念を曲げないことはアイドルでも政治家にも共通していると聞いた時は、なるほどと思いました。また彼女の部屋もYouTuberのような可愛い部屋で政治家としてギャップを感じつつ、頑張ったら政治家になれるんだなということは自分としても何か勇気づけられるものがありました。
ーー対話することで興味深い視点がたくさんでてきますね。
別木 普段意識していなかった視点として、私の妹が出てくれた時も面白かったです。妹は都知事選の際に、「投票に行くことは社会的に正しいことだと思うけど、私にとって行く理由がない」っていうのを聞いた時はなるほどと思いましたね。結局私たちみたいな政治に関心がある若者ってマイノリティなんです。妹みたいな人が社会にいっぱいいるのが普通で、私たちはそういう視点をよく忘れてしまいがちなので、改めてこのことを実感できたのは良かったです。でも最終的にNO YOUTH NO JAPANのインスタを見て、都知事選に行ってくれました。
ーー今後Twitterライブでやってみたいことがあれば教えてください!
能條 新しい視点をもっと取り入れたいですね。Twitter上の議論とかもそうですが、私たちのように似た意見同士が集まってしまうと考えが偏ってしまうし、違った考えを展開することがなかなかできません。
別木 妹が出てくれた時に思ったんですが、彼女は18歳になったけど「(都知事選の)投票には行かない」と言っていて、そんなちょっとしたことが新しい視点だったりします。投票に行くことは当たり前だと思っていたことが、彼女たちにとっては当たり前ではなく、その理由も合理的するので。
ーー違った意見に耳を傾けることは、自分の意見を磨いたり、社会問題への理解を深める上で欠かせませんね。
能條 何よりも毎回のライブで結論が出ないのが面白いです。何かの問題に対して、絶対こうあるべきという答えがあるわけではないので。他にも地方活性化、性教育、戦争など様々なトピックを扱ってきましたが、明確な結論を出してきてはいないです。政治の話をする際、社会問題に対して明確な答えを明示して白黒つける傾向があると思いますが、私たちのライブでは色んな意見があるけど、どうするべきかはまだまだ議論の余地があるね、という感じで終わります。ただ、この考えてみたけどよく分からないということも、基本的ですごく大事なことですね。
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