東京大空襲　一晩で10万人もの命が奪われた日

75年前の1945年3月10は何が起きたかご存知でしょうか。この日、首都である東京が大規模な空襲を受けた「東京大空襲」が起きました。一晩で10万人もの人が犠牲になりました。いったいどんな空襲だったのでしょう。

概要

3月10日の深夜にマリアナ基地から飛んできたB29爆撃機によって、超低空飛行による空襲が開始されました。300機近くのB29 が1500トン分の焼夷弾（しょういだん）を投下して、約41万平方キロを焼き尽くし、約10万人もの人が亡くなり、100万人が負傷しました。

経過

3月9日の夜、サイパン、テニアン、グアムの各島からB29が飛び立ち、7時間かけて東京に到達しました。

10日の午前１時半から午前3時にかけて約1500トンもの焼夷弾を投下し住宅が密集している地域を焼夷弾で焼き払う絨毯攻撃が行われました。ターゲットとなったのは築地や神田などの市場、東京、上野などの駅などが目標で軍施設や軍需工場など明確な目標はなく、住民を殺戮することで、国民の戦争への気力を奪うことが目的でした。焼夷弾により東京は火の海と化し、防空壕に逃げ込んだ人や公園や丈夫な建物に避難した人も火災により亡くなり、熱さから川に飛び込んだ人は、川の水の温度が高いため亡くなった人が多くいました。

日本軍は高射砲などで対抗しましたが、撃ち落とせた機体は多くありませんでした。

たった2時間の空襲で下町の大部分を焼き尽くされ、焼き焦げになった遺体や川には山のように積み重なった遺体が見受けらます。

B29 とは

B29 はアメリカのボーイング社（現在は旅客機B787なども製造）が開発した超大型爆撃機で機体のサイズは全長30.2メートル、全幅43.1メートルで最大9トンもの爆弾や焼夷弾を搭載することができ、機体内部には与圧キャビンにより、高度が高くても酸素マスクなしで乗務員は過ごすことが可能です。1944年から運用され、1960年には退役しました。

焼夷弾とは

焼夷弾は爆弾とは異なり、着弾すると内部に詰められたガソリンに衝撃から発火するため、木造建築の多い東京で大規模火災を起こすことになったのです。

なぜこんなにも被害が大きくなったのか

なぜこんなにも空襲の被害が大きくなったのでしょうか。それには4つほど理由があります。

１　町のつくり

当時は木造建築の建物が多く、火に弱かったため広範囲で燃えました。また河川や水路が多くそのため橋がかけてあったために避難が遅れてしまいました。

２　当日の気象

9日から１０日にかけて強風が吹いており、火災の被害を大きくしました。風によって火が舞い上がり、町を襲いました。これは関東大震災と同じ状況です。

３　観念と防空法

当時の住民の観念として逃げずに消化しなければならないという意識があり、焼夷弾が降る中、逃げずにバケツリレーなどで鎮火しようと試みた人がいました。また「防空法」に空襲時の消火活動を義務づける規定や違反者への処罰規定があったため避難しなかった人もいたのです。

４　空襲警報の発令が遅れた

空襲警報が発令されたのは空襲が始まって数分後であり、これが人々の避難を遅らせました。

後世に伝える

3月10に何が起きたかと答えることが出来る人はどれだけいるでしょうか。明日3月11日は今であれば多くの人が答えられるでしょう。しかし、東日本大震災よりもはるかに多くの人が亡くなったこの空襲を風化させてよいのでしょうか。

75年がたち、この空襲の生存者の高齢化が進み後世に語り告げることが出来る人も少なくなってきています。このような機会が失われていくなかで私たちはどのように真実を知るべきなのでしょうか

１つには学校教育があります。社会科の授業で東京大空襲について知る機会は大切だと考えます。また実際に生存者の方の話を聞くと、さらに記憶に残りやすいと思います。

2つ目に戦争に関するテーマの映画、特集番組を見る、マンガを読むことではないでしょうか。特にNHKなどではこのような特集番組が放送されることがあるので家族で見ることで一緒に考えるきっかけになるのではないでしょうか。また東京大空襲ではないのですが、ジブリの映画「火垂るの墓」を見る、マンガの「はだしのゲン」を読むこともこの時代の情勢を知るのにいいと思います。