YouTuberになって、政治に参加しよう PART2

YouTuberになって、政治に参加しよう PART2

供託金

30万円。これは、地方自治体の議員選挙への出馬に必要な ”供託金” の額だ。

供託金とは、立候補する際に必ず必要になるお金のことで、売名などの理由で選挙に出ることを防ぐ為に設けられている。

供託金の額は出馬する選挙の種類によって異なるものの、一定数以上の得票があれば返還されることになっている。なので笹谷さんは、供託金はいわゆる“見せ金”として用意すればよく、またポスターや選挙カー、ビラなどは公費で出る為、実質0円で出馬は可能で、更に若い人であればそれだけで供託金がかえってくるレベルまで得票が見込める、と語る。

当然事務所を借りたり、アルバイトをお願いしたりするとお金がそれだけかかるので、事務所は自宅か知り合いの飲食店を使わせてもらい、選挙スタッフは全てボランティアでまかなう必要があるという。

YouTubeで選挙活動

それよりももっと重要なことは、出馬までになるべくお金をかけずに認知を広げることだという。それにはYouTubeが役に立つ。

YouTubeを使って地元の紹介や飲食店のレポートを行う。また、自分が感じている地元の良いところや問題点を撮影してアップロードするのも良い、と笹谷さんは言う。

従来、地方選挙は駅立ちや後援会活動といった地上戦がメインで、メディアなどによる空中戦の比率は少ないと言われてきた。しかし前回の統一地方選挙を見る限り、以前よりも積極的にYouTubeで発信をしている立候補者が増えている印象だと、笹谷さんは語る。

地上戦をメインとし、サブとして発信している候補者が大半であるものの、中には積極的な発信をメインとして当選した候補者もいるとのことだ。

地元周りをメインにするか、YouTubeでの配信をメインにするか。今後選挙におけるネット利用がより広がるとみられる中で、候補者達が取りうる選択肢も広がり、それぞれの強みや特徴をどう活かすか。そこが重要になっていくと思われる。

いずれにしても、お金というコストをかけない分、時間と労力というコストを出し惜しみしない、ことが大切だと笹谷さんは指摘する。

YouTubeを始めるときによく言われるのが「編集は大変なんでしょう」「機材は何を使えばいいですか」といった質問だが、結論から言えば、スマホのみ、無編集で問題ないとのことだ。

選挙を想定した地元密着型のYouTubeではそもそもテーマがニッチなので、編集による視聴数増はあまり見込めない。それよりも数を出して単純接触効果を狙っていきつつ、地元に関する幅広い内容を扱っていくことの方が重要だと笹谷さんは語る。

またこれはYouTubeチャンネル全般に言えることだが、動画投稿を開始した後、9割のチャンネルは収益化ラインのひとつである登録者1000人に到達する前にリタイアする。その多くは撮影コスト、編集コストによって、途中で飽きてしまい挫折するという。ということは、ただYouTube投稿を継続していくだけで周りと差がつけることが可能になる。継続するためにはまず動画制作コストを限りなく下げることが肝心だ。

そのためには編集なし、日頃の生活の延長線上に動画撮影を組み込むこと、つまり編集よりも継続性が大事だという。

あなたが既に地域で何らかの活動をしているのであれば、それを撮影してアップロードするだけで十分。なにもしていないのであれば、行った飲食店の食レポをしよう。大事なのは動画のためになにかをすることを極限まで減らすこと、だと笹谷さんは言う。

「何も知らんくせに軽い気持ちで出馬するな」という声に

自分が政治のことについてあまり知らないのに出馬することに対して「けしからん!ちゃんと勉強してから出馬しろ」「政治は遊びじゃないんだ」「税金の無駄遣いだ」みたいな意見が時々散見されるが、そういった意見こそ言語道断だ、と笹谷さんは指摘する。一見真面目ぶった意見がかえって民主主義を後退させるのだという。

もちろん当選してから政治家として活動しているのに何も勉強してないのであれば大問題であり、税金で賄われている政治家がそのような立場では批判されるのも当然だ。

しかし、民主主義というのは本来国民全員に開かれているもので、国民のさまざまな意見・多様性を反映させる入り口としての選挙では、もっと多くの人に開かれているべきだ。そして、出馬を決意し、実際に出馬してみて、その過程で本人と周りに政治参加の意識が芽生えることのほうが、はるかに価値があるのではないか、と笹谷さんは語ってくれた。

政治をいかにしてより身近なものに近づけるか。これからの時代はこのことがより重要になってくるとみられる。より身近にするには選挙啓発など従来の手法以外に訴えることが必要不可欠になってくるのではないだろうか。YouTubeはこれから政治を知る手段として必要不可欠なものになっていくのかもしれない。 

参考:
立候補のための供託金ってどんなもの?

http://www.city.nobeoka.miyazaki.jp/display.php?cont=120207154552

【人物紹介】

笹谷侑矢(25) 1994年生まれ。東京大学文学部卒

豊島区YouTuber、イベントバー「エデン」経営

豊島区議選に出馬。1,300票獲得も落選

Civisマガジン PERIPLUS2月号より

https://www.facebook.com/2166500566962956/posts/2539481032998239/

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