SNSマガジン水曜版第29号(通算第65号)
妖怪は人にとって害をなすものもいれば、そうでないもの、様々な妖怪が昔から日本にはいます。
現代では、妖怪と人との距離は昔ほど近くないかもしれませんが、『ゲゲゲの鬼太郎』や『夏目友人帳』、『妖怪ウォッチ』など漫画やアニメの主人公やキャラクターとして、今も多くの人々に愛されています。
面白い妖怪
妖怪の有名どころとしては、ろくろ首や座敷わらし、一つ目小僧、かまいたちなどでしょうか?
いま挙げた妖怪については皆さんも一度が耳にしたことがあると思います。これらはある意味妖怪らしい妖怪といえるでしょう。
ですが中には思わず、「なんだそりゃ?」と言いたくなるような妖怪も結構いたりします。
例えば、ぬらりひょんは色々な性質が伝わっていますが、現代的なものとしては、『夕方の忙しい時間帯に家に上がり込んで茶を飲む』という姿が広く流布されています。
他にも、何をしたいのかわからない、どこか抜けている、果ては不審者として警察に捕まるしかなさそうな行動をする妖怪もいて、いろいろと突っ込みどころが満載です。
妖怪と日本人
ところで以前海外の方から、「妖怪や鬼ってどんな存在なの?」と聞かれて答えに困ったことがありました。
というのも、妖怪や鬼を英語でなんと訳したら良いかわからなかったからです。
Monster、Devil、Demon、色々と考えたのですが、これだ! としっくりくるものがありませんでした。
Monsterはゴジラなどの怪獣はその訳でも問題ないと思いますが、妖怪はゴジラではないので違う感じですし、DevilやDemonとも何かが決定的に違う感じがします。
その理由を考えた時、海外、特に西洋の概念にはないある種の「日本人的世界観」が妖怪を生み出した源なのだと思いました。
西洋のDevil、やDemonは「悪」と=で結び付けてもほとんど問題がありませんが、妖怪は「悪」が=で結びつかないのです。
夕方家に上がり込む、ぬらりひょんを「悪」とはどうしても考えることができません。まぁ夕方の忙しい時間に家に上がられて居座られたら、それはそれである意味「悪」かもしれませんが・・・
「鬼」についても同じことが言えます。鬼といっても、なまはげのようにいい鬼が存在します。
ともすれば「悪」というくくりでひとまとめにされてしまいがちな存在に、敢えて人間臭さやおかしな習性を持たせることで、完全に「悪」になることを防いでいるのではないでしょうか?
完全な「悪」を作らない、というのは日本人独特の感性なのかもしれません。
おわりに
この完全な「悪」を作らない、感性は「物事を多面的に見る力」にも通じるものがあり、グローバル化が進んできたことへの揺り戻し現象ともいえる出来事が世界中で発生している今日、妖怪たちが新たな物の見方を見つけるヒントになるのではないでしょうか?
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