選挙権年齢が18歳に引き下げらました。学校現場では「主権者教育」の必要性がさけばれています。その典型が模擬選挙です。投票箱を借りてきたり架空の選挙公報を作ったりして、行うことが一般的です。
しかし生徒の反応はどうでしょう?本物の投票箱は確かにインパクトがありますが、選挙そのものは楽しくないですよね。
楽しくないから、生徒が主体的に考えることが出来なくなってはいないでしょうか。本来の目的であった主権者意識は向上しているのでしょうか?
模擬選挙とは
主権者教育のメジャーな方法。仮想の選挙を想定して、複数の候補者や政策を並べたうえで実際に投票してもらう。模擬選挙の担い手として、選挙管理委員会や教員、NPO法人等が挙げられる。
学生団体ivoteは、年間10校以上で模擬選挙を行っています。それも小学校、中学校、高校と様々な生徒が対象です。その中で、「楽しい」授業になるように様々な工夫を凝らしてきました。
そんなivoteの実践の経験から培った「模擬選挙が楽しくなる方法」をご紹介します。これがわかれば本物の選挙も「どのようにすればみんなが参加したくなるか」わかるかも?
争点に対して基礎知識がある
模擬選挙の争点は、消費税増税の可否や地域の課題、学校の問題が使われることが多いと思います。しかし、そもそも争点に対する基礎知識を知らないのに「どう変えたいか?」ということを考えることは難しいですよね。判断を支える前提知識は事前に抑えてもらいましょう。
争点がはっきりしている
本物の選挙でもよく聞かれる「何が争点なのかわからない」という声。本物の選挙では現職議員が落選しないように、あえて争点をつくらない。つまり、いろんなテーマについてふんわり訴えるということがあります。
主権者行動の目的は、
- 複数の選択肢(候補者・政策)を与えられる。
- 自分の価値観と照らし合わせて、投票先を決める。
この2つです。模擬選挙で、社会に関わる上での意思決定の練習をします。
争点がはっきりしていなければそれができません。
実際の選挙とは違いがあるかもしれません。しかし、「主権者」を教育するという観点に立つということを伝えるために争点をはっきりさせる必要があります。
争点と自分の関係がわかる
例えば「働きかた改革」を争点にして中学生を対象に模擬選挙するとします。自分が働いているところを具体的に想像できないのに「なんで働きかた改革について考えないといけないの?」という疑問が想定されます。
そんな時は「将来の働きかたを考えることは将来の生き方を考えるスタートになるんだよ」と伝えてあげましょう。難しそうな争点、自分には直接関係がなさそうな争点がどのように自分に関係しているのか。なぜ考える必要があるのか伝えてみましょう。
争点と社会の関係がわかる
政治的テーマを考える一番の理由は「社会をよくするため」ですよね。生徒にも社会という広い視点を持ってほしい。自分の立場だけでなくて、あるやる人の立場になってもらうことが、社会という広い視点を持つことにつながります。
政治が変わることで喜ぶ人もいますが、その一方で困る人はどんな人か。ということを具体的に伝えましょう。
候補者の気持ちがわかる
より現実的でより優れている政策を選ぶだけなら、AIに任せて政治家も選挙もいらないかもしれません。でもそこに市民や政治家の想いや願い「どんな社会が理想か」が関係するのが政治です。こんなデメリットもあるけどこんな未来のためにこうしたい、そんな候補者の「気持ち」も含めて考えるのが選挙の醍醐味ではないでしょうか?
政策の裏には候補者の価値観や立場があります。政策がよいかどうか判断するだけでなく、その価値観や立場に共感できるか。そんなことも注目してみると深く考える模擬選挙となるでしょう。
友達と意見交換ができる
選挙公報をよんでも演説を聞いても「自分がどういう価値観で物事を判断しているか」を意識できていないと投票先を決めることは難しいですよね。そこで投票する前にどの候補者がいいと思ったのか、なぜそう思ったのか、友達と話しながら自分の感覚を言語化することが必要です。 大人でも人の意見を聞いて初めて自分の立場を意識することは多くあるでしょう。
臨場感がある。
実際の選挙に近づけることで、生徒は緊張感を持って授業に入ってくれます。形から入る主権者教育も大切です。投票箱は簡単に「選挙管理委員会」から借りられますので問い合わせてみましょう。
まとめ
いかがでしたか?今回は「模擬選挙が楽しくなる7つの法則」についてご紹介しました。上記ことを全て取り組むのは難しいかもしれません。しかし何項目か意識してみるだけで、主権者教育は本来の目的を叶えるものになると思います。ぜひ参考にしてみてくださいね。
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