我が国では間接民主制が採用されているため、国民投票が頻繁に行われることはありません。
しかしスイスでは年に4回も国民投票が行われていることで知られています。
なんでそんな頻繁に国民投票が行われるのでしょうか?
そこで本記事ではスイスの国民投票についてご紹介します。
スイス国民投票
先ほどにも述べた通り、スイスでは年間で4回国民投票が行われます。その内容は憲法改正など国家の重大事項から、国民が発議を行う細かな内容など多岐にわたっています。
このように国民投票が頻繁に行われる国家なので、政治に民意を反映しやすいシステムとなっているのです。
しかし国民感情はその時の情勢に左右されやすいため、時に国会ですでに定められた法律と矛盾する内容となることもあり、整合性の兼ね合いが難しいという難点もあります。
憲法改正
近年国内では憲法改正の議論は盛んに行われていますね。
日本でも憲法改正の是非が問われる際には、国民投票が行われることになっていますが、日本国憲法が誕生してから今日まで一度も改正されていません。
一方スイスでは部分改正も含めれば、すでに140回以上改正が行われています。これはおよそ1年に1回以上のペースです。
牛の角を切るな!?
2018年11月28日に牛の角切りの是非を問う国民投票が行われました。
ある農場経営者が牛の尊厳を守りたいという目的から、署名活動を行い、スイス国内で大きな話題に。
そして最終的には、牛の角を切らずに飼育している農家には補助金を出すことに賛成か反対かが国民投票で問われることになったのです。
結果は反対55%で否決されましたが、スイス国内で動物保護について考えるきっかけとなりました。
自動車のない日曜日 Car-free-Sundays
環境問題などを理由に、すべての道路及び公共施設において、自動車走行を禁止する日曜日を設けるべきか否かが問われました。
今回はなんと1978年と2003年の2回で行われています。
しかし、日曜に禁止してしまうと、旅行産業や週末に開催されるスポーツ産業に経済的ダメージを与えてしまうリスクがあるなどの問題点も多々あったため、結局はいずれも否決されました。
参考:swissinfo.ch 軍の撤廃から牛の除角まで スイスのオドロキ国民発議9選
https://www.swissinfo.ch/jpn/politics/%E7%9B%B4%E6%8E%A5%E6%B0%91%E4%B8%BB%E5%88%B6_%E8%BB%8D%E3%81%AE%E6%92%A4%E5%BB%83%E3%81%8B%E3%82%89%E7%89%9B%E3%81%AE%E9%99%A4%E8%A7%92%E3%81%BE%E3%81%A7-%E3%82%B9%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%81%AE%E3%82%AA%E3%83%89%E3%83%AD%E3%82%AD%E5%9B%BD%E6%B0%91%E7%99%BA%E8%AD%B0%EF%BC%99%E9%81%B8/44558450
swissinfo.ch Car-free-Sundays head for the scrapyard
https://www.swissinfo.ch/eng/car-free-sundays-head-for-the-scrapyard/3316860
スイスってどんな国?
スイスの国民投票は非常に興味深いですね。
それではスイスがどんな国なのか探ってみましょう!
スイスの基本情報
正式名称:スイス連邦
首都:ベルン
人口: 842万人
面積:4.1万㎢
公用語:ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語
参考:スイス連邦 基礎データ
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/switzerland/data.html#section1
スイスはヨーロッパ大陸に位置する小さな国です。
驚くことに公用語が4つもあります。ドイツ語圏とフランス語圏で大半を占めていますが、イタリア語や現地の伝統言語ロマンシュ語が話される地域もあり多様な文化が共存していることで有名です。
スイスドイツ語
上記のように、スイスの公用語の中にはドイツ語がありますが、実際はスイスドイツ語と呼ばれるほど全く違った言語だそうです。
訛りや標準ドイツ語にはない言い回しが多数あり、ドイツ人すらスイス人が話すスイスドイツ語を理解できないことも多々あります。
すなわちドイツ語とは全く別の言語と捉えることもできます。
永世中立国
スイスは他国間で戦争が勃発した場合、それに干渉しない永世中立の立場をとる国家としても知られています。
1814~1815年かけて行われたウィーン会議にて、スイスは国際的に中立国として承認され、今日までその伝統が受け継がれています。
そのためEU(欧州連合)やNATO(北大西洋条約機構)になどに加盟していません。
しかし2002年には国際連合に加盟し、中立政策の価値が問われつつあります。
スイス出身の有名人
最後にスイス出身の有名人を誰か知っていますか?
なかなか思いつかない方も多いかもしれません。しかし実はあの有名人もスイス出身だったんです!
ジャン・ジャックルソー
歴史の教科書で必ず目にするルソー。活躍の舞台はフランスがメインでしたが、実はスイスのジュネーヴ出身なんです。
主著「人間不平等起源論」や「社会契約論」は後世に多大なる影響を与えました。
アルベルト・アインシュタイン
アインシュタインはドイツで生まれましたが、青年期はスイスに移住し、国籍も取得。そのまま学生時代を過ごしました。後に再びドイツに戻りますが、自身がユダヤ系であることから、ナチス政権から追われる身となり、アメリカに移住することになります。
アインシュタインはご存じの通り、偉大な功績を残してきました。一般相対性理論などが有名ですね。
1921年にはノーベル物理学賞を受賞しており、「20世紀最高の物理学者」と称されています。
ロジャー・フェデラー
テニス界のレジェンド、ロジャー・フェデラー選手はスイスのバーゼル出身です。
四大大会通算優勝回数はなんと20回で歴代1位!(2019年11月現在)
日本の錦織圭選手は2014年に全米オープンでの準優勝が最高成績で、まだタイトルを獲得できていません。いかに偉大な記録かが分かると思います。
そして38歳にもかかわらず、今もトップ選手として活躍をしており、衰えを知りません。
ちなみに「スイスでフェデラーをフェデラーを馬鹿にするとこうなる」というスイス公共放送会が作ったコメディーがあります。
皆さんもスイスに行く際は、くれぐれも気をつけて…笑
おわりに
本記事では直接民主制の代表的な国スイスを紹介しました。日本とは大きく異なることがお分かりいただけたと思います。
ivote Mediaでは様々な国の政治に関する記事を投稿していますので、そちらもぜひご覧ください!
尚今回の記事ではSwissinfo.ch(スイスインフォ)の記事を参考にしました。
政治のみならずスイスの生活など興味深い記事がたくさん掲載されているので、気になった方はこちらもぜひご覧ください!
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