日本の男女平等における厳しい実態〜どうすれば女性の社会進出は推進される?〜

政治コラム

はじめに…

新型コロナウィルス感染拡大に伴い、延期を余儀なくされた2020東京オリンピック。2021年に開催されるのか注目が集まるなか、東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会会長、森喜朗氏の女性蔑視発言が大きな問題として世界中を騒がせました。

彼の発言は決して受け入れられるべきものではありませんが、私はこの発言はある意味で氷山の一角なのではないかと思います。日本だけでなく世界中で、性別に関するステレオタイプのイメージは未だ大きく影響力を持っていますし、女性の社会進出も進んでいない国が数多くあります。それでは、日本における女性の社会進出はどうなのでしょうか?

世界に比べても日本での男女平等は遅れている?!

世界経済フォーラムによる2021年発表の「Global Gender Gap Report 2021」によると、ジェンダー・ギャップ指数における日本の順位は156国中の120位でした。由々しき事態ですが、これは日本社会が女性の社会進出に対する試みを怠っているということなのでしょうか?

女性の社会進出に対する様々な試み

男女平等を推進してきた法整備

日本政府は1970年代から男女平等を目指す様々な国際条約を支持し、また国内においても男女平等促進のための試みを行ってきました。

特に日本国内において最初の大きなターニングポイントとなったのは、1985年に施行された「男女雇用機会均等法 」です。この法律により、雇用においての男女差別が禁止されました。

また1999年に施行された法律である、「男女共同参画社会基本法」は日本における男女共同参画社会を推進していくための法律。「男女共同参画社会」ってそもそも何?と思う方も多いかもしれませんが、これは簡単に言えば、男女一人一人が対等なメンバーとして様々な分野で活躍する機会を与えられ、それによって生ずる利益を享受する事ができ、また責任を担う事が求められる社会です。この法律の理念に基づいて男女共同参画局が内閣府に立ち上げられ、男女共同参画社会基本計画が次々と打ち出されていきました。最新のものは2020年に閣議決定された「第五次男女共同参画社会基本計画」です。

その後も様々な男女平等の為の法整備などが行われました。

安倍内閣による女性活躍の推進

安倍内閣は日本の経済成長のための「三本の矢」(「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「成長戦略」)を展開したことでよく知られていますが、実はこの取組みの一環として「女性が輝く日本」の実現を推進しました。少子高齢化が進み、労働力の減少が嘆かれる中で、女性を「我が国最大の潜在力」とし、男女平等社会のための取り組みをさらに促進させたのです。また2020年までに女性が占める指導的立場の割合を三割まで伸ばすという目標も掲げました。

2015年には「女性活躍推進法」を制定し、女性の出産、子育てと就業の両立を助け、また女性が指導的立場につくことを推進するために、企業に対し女性雇用に対する取り組みの報告を義務化しました。この法律は2019年にその一部が改正され、女性活躍に関する義務の対象となる企業がさらに広げられました。

2018年には「候補者男女均等法」が成立。この法律では衆議院、参議院、地方議会の選挙における男女候補者の割合が均等になる様に公共団体や政党における様々な責務を決めました。こうして、経済界だけでなく、政治界における女性の社会進出も促進する試みが行われたのです。

現実と理想のギャップ…日本における男女平等はまだまだ?

こういった様々な取り組みはある程度の成果につながりました。女性の就業率は2012年以降増加傾向にあり、70.9%の就業率を実現しました。また女性が出産、育児を機に離職し、その後再び働き出すという「M字カーブ」現象も改善傾向にあります。政府が行う意識調査においても、男女共に出産、育児と仕事の両立に対する肯定的な意見を持つ人々が増加している事がわかります。

その一方で、2020年までに女性の指導的立場を占める割合を三割にするという目標は実現しませんでした。

また女性の就業率は確かに伸びている一方で、多くの女性が非正規雇用という形で働いているという実態も見過ごせません。2019年の非正規雇用労働者の割合は女性が56.0%と男性の22.8%を大きく上回っています。非正規雇用労働者は経済状況の悪化などに伴い真っ先に解雇などの対象になるいわば経済的弱者です。実際、新型コロナウィルス感染拡大に伴う経営悪化の影響により、多くの女性の非正規雇用労働者が職を失う事となりました。

こういった状況の中、政府は2020年に新たに「第5次男女共同参画基本計画」を制定、2030年までに男女の指導的立場を占める割合が均等になることなどを新たな目標として掲げています。果たして今後は円滑な女性の社会進出が進められるのでしょうか…?日本の男女平等を阻止する弊害はあるのでしょうか?

どうして男女平等は実現されない?

男女平等を蝕む「ジェンダー意識」

今回の森会長の発言が顕著に示したように、未だに「男性」「女性」で区別するジェンダー意識が社会には大きく根付いているのではないでしょうか。

内閣府による世論調査によると、家庭生活、職場、政治などの多くの分野で男性の方が優遇されていると感じる回答の割合が平等だと感じている回答の割合を超えています。

政治における女性の活躍

女性の活躍のレベルは政治分野において特に遅れています。国会における女性の議員比率は衆議院で10%、参議院で2%、都道府県議会で10%と低く、世界的に見ても最低レベルの基準です。多くの女性が政治界で活躍し影響力を持つことは、女性によってより生きやすい社会を作り上げていくためには必須ですよね。

しかし、日本財団が行った調査によると女性の政治参加が拡大される必要性を感じている人は63.7%と必要でないと答えた人の割合4.9%を大幅に超えています。これは日本社会における女性の政治参加を進めるインセンティブが大きい事を示すポジティブな傾向の表れの一つとして捉えられるかもしれません。

一つの解決方法として他国で多く採用されているのは「クォーター制」。これは国会又は地方議会において、選挙候補者や議席を占める男女の割合を定める制度です。日本でこの制度が採択されれば、女性の政治界進出のための大きな前進になるかもしれません。

どうやって出産・育児と仕事を両立するか

女性が社会で活躍するために大きな課題としてあげられるのが育児と仕事の両立。先ほど触れた「M字カーブ」現象は確かに減少傾向にあるものも、そもそもこの現象は欧米先進国では見られない日本独特のもの。

現在日本では、産児休業精度、育児休業制度をはじめとする子育て支援が制度化され、また近年では男性の育休の利用も促進されてきました。実は日本の育休制度は世界的に高い評価を受け、特にユニセフは2019年の調査で日本の男性における育休制度を41ヵ国のうち1位の評価を与えています。しかし、その一方で2019年度の男性の育休所得率は7.48%と女性の育休所得率83.0% に比べてかなり低い水準です。せっかく世界に誇れる制度を持っているのに、実際にあまり使われていないなんて勿体無い話ですよね。女性が育児と仕事の両立をできるようにするためには、男性の育児への協力は不可欠。制度がより多くの人々に利用されるような環境づくりが政府や企業の直面する課題の一つではないでしょうか。

最後に:男女平等社会を実現するために…

今回の記事では、日本における女性の社会進出にスポットライトを当てて、男女平等の問題について皆さんの考える上での材料を提供させていただきました。

日本では政府が主導となり男女平等を実現するための様々な試みが行われてきたものも、未だ理想とはほど遠いという現状があります。

政府や企業が今後とも様々な画期的な改革を行い、女性がより活躍できる社会が実現する事を強く願いたいですね。

私たちができること

私たち個人ができることはあるのでしょうか?

読者の皆さんに一つ考えていただきたいのは、どれだけ私たちが男女を区別する意識や価値観に無意識に囚われているかということ。

当たり前のように「男」「女」で区別し、異なったイメージを持ったりそれによって異なった役割を期待してしまうことが誰にも少なからずあるのではないでしょうか。それではいくら制度を変えても、本当の意味での「男女平等」は実現されません。

一人一人が自分の性別に関する意識を見つめ直すことで、より男女平等実現に近づくための雰囲気、環境作りが進むのではないのでしょうか?

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