戦争の歴史との向き合い方を考える ~ベルリンを訪れて~

政治コラム

第二次大戦関連の番組やニュースを目にしたとき、皆さんはどんな気持ちになりますか?

大切な問題なのはわかるけれど何となく避けてしまう、そんなことはありませんか?

戦争経験を持つ世代が少なくなっていく中、私たち若い世代が戦争と向き合い後世に伝えていく重要性は増しています。その一方で、戦争関連の話は多くの悲しみがあり、また遠い過去の出来事で自分や現代との繋がりを感じにくいため、関心を持ちにくくはないでしょうか?

では、戦争の歴史と向き合い、残していくためにはどうしていけばよいのでしょうか?

今回はドイツに留学中の大学4年生、花田さんにドイツでの取り組みを紹介してもらいます。

戦争の歴史を身近に~ベルリン~

ドイツは第二次世界大戦中、600万人近くのユダヤ人を拘束・虐殺した歴史があります。

このホロコーストに対する反省と、このようなことを二度と繰り返してはならないという意識は非常に強く、負の歴史との向き合い方や残し方が模索され続けています。

特にベルリンにはホロコーストと、ベルリンが東西に分断された冷戦についての表示・モニュメントが街のいたるところにあります。

代表的なものはベルリンの壁ですが、そのような当時の建造物や博物館だけではなく、日常で使う駅や道に多くの表示があることは特徴的だと言えます。

左:East side gallery ベルリンの壁東側の一部はアートの場になっている 右:現存するベルリンの壁 左手が旧東ベルリン、右手が旧西ベルリン

例えば通りに立っている標識には、ナチスが当時ユダヤ人に課した差別的な法律がそれを表すイラストとともに書かれています(写真)。

また、中心部の多くのターミナル駅にはナチス時代・冷戦時代のその場所にまつわる話の表示があり、現代アートでホロコーストを表現しているところもあります。

自然と目に入る景色のなかに歴史を感じるきっかけがたくさんあり、いつも使う駅の辿ってきた歴史だと自分と重ね合わせられるため、身近に感じやすいと思いました。

このように戦争の歴史を身近に感じさせる取り組みは、戦争の歴史を考え議論するハードルを下げ、歴史を自分事として考えられるようにする点で重要ではないでしょうか?

インスタでホロコースト ~「生きた」記憶として今に伝える~

もしホロコーストの時代にインスタがあったなら…。

75年前に亡くなったユダヤ人の少女エヴァの日記をもとに作られたアカウントが投稿開始から1日で1億回以上の再生回数を稼ぎ出し、話題となりました。

作成者のイスラエル人マティさんは、ホロコーストの歴史が過去の記憶として消えていく恐怖を感じ、「生きた」記憶として残していきたいとの思いでこのプロジェクトを行ったそうです。

エヴァは両親が離婚し寂しさを抱えた13歳の一人っ子という現代にもいそうな女の子。

Storyには友達と遊んだり、デートしたり、という何気ない日々とナチスによってそれが変えられていく様子が映されています。

実際私もフォローしていますが、エヴァの視点でスマホを通してうつされているので、よりリアルにその時代を体感できると感じました。

このアカウントは、戦争を遠い時代の出来事ではなく、実際に私たちの毎日と同じような日々のなかにあったこととして捉えられる助けになると思います。

このような発信の仕方にイスラエルを中心に多くの批判もあるのも事実です。しかしこのような模索自体に価値があるのではないでしょうか?

おわりに

私はドイツで外国人として生活する中で、外見や文化的共通点の少ない人々に対してつい避けてしまうなどの差別をしてしまうのはある意味自然なことだと思うようになりました。

では、それを乗り越えて差別をなくすためにはどうすれば良いのでしょう?

今現在起きている問題を考える上でも、歴史を知り、考えあっていくこと、その方法を模索することは重要ではないでしょうか?

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