【円高?関税?WTO?】貿易について分かりやすく教えて!

政治コラム

2019年5月、米大統領のトランプ氏が令和最初の国賓として訪日しました。天皇陛下との会見や安倍首相とのゴルフや相撲観戦は大きな話題となりました。

その一方で、トランプ大統領は日米貿易についても強く言及し、改善を求めてきました。

他にも米中貿易摩擦問題など今貿易問題は米国を筆頭に再燃し始めています。でも関税とか貿易とか難しくてよく分からない。そんな方も少なくないのではないでしょうか?

そこで今回の記事では、ニュースなどで見かける貿易用語や貿易にまつわることをご紹介します。

関税

関税とは・・・歴史的には古代都市国家における手数料に始まり、内国関税、国境関税というような変遷を経てきたが、今日では一般に「輸入品に課される税」として定義されている。

参考:税関 関税とは http://www.customs.go.jp/shiryo/kanzei_shikumi.htm

輸入品に関税をかけることで、自国産業を守っています。しかし近年はこのような保護貿易主義から自由貿易主義へ推進する風潮が高まっており、関税を撤廃・削減したFTA(自由貿易協定)を締結している国も増えています。TPPもその一例です。

日本の場合は、農作物などに高い関税がかけられています。税率の詳細は国税庁のHPから確認できますので、気になった方はご覧になってみてください。

輸入統計品目表(実行関税率表)

円高・円安

円高とは・・・円の他通貨に対する相対的価値、言い換えると、円1単位で交換できる他通貨の単位数が相対的に多い状態のこと。

円安とは・・・円の他通貨に対する相対的価値(円1単位で交換できる他通貨の単位数)が相対的に少ない状態のこと。

参考:日本銀行Bank of Japan 円高、円安とは何ですか?  https://www.boj.or.jp/announcements/education/oshiete/intl/g18.htm/

日本銀行は以上のように定義していますが、具体例を用いてもう少し分かりやすく解説しましょう。

例)日本がアメリカから100ドルのお財布を輸入

「1ドル=120円」の時:100ドル×120=12000円

「1ドル=80円」の時:100ドル×80=8000円

同じお財布を買っているにもかかわらず、為替レートに変動があるだけで値段(日本円)に4000円の差が生じてしまいます。前者は1円≒0.008ドルに対し、後者は1円≒0.013ドルであり、前者の方が円の価値が低いと言えます。

このように相対的に見て、円の価値が低い時を「円安」価値が高い時を「円高」といいます。

現在は為替レートが変動する変動相場制が採用されているため、通貨の交換比率が常に変動しています。

ちなみに1970年代初頭までは固定相場制が採用されており、1ドル=360円で固定されていました。この時代にアメリカを旅行したら、今の時代と比べて、旅費がとんでもないことになりそうですね…

現在の貿易システム

現在の貿易システムが構築されるまでに、我々は非常に長い道のりを歩んできました。それはなんと戦前にまで及びます。

ブロック経済

第二次世界大戦が勃発した要因の一つに貿易問題がありました。米、英、仏などの世界各地に植民地を持つ帝国主義国がブロック経済を始めたからです

ブロック経済とは、共通通貨を用いる自国とその植民地間の間のみで行われる排他的な貿易体制のことです。1929年世界恐慌が起こることで、帝国主義国はかつてにないくらいの不況に見舞われました。そこで植民地を持つ国は域外には高関税をかけ、自国産業を保護し、経済の立て直しを図りました。

しかしこれに対し、ドイツ、イタリア、日本などの植民地を持たない国が反発。自給自足圏を確保するために、軍事的侵略をはじめ、第二次世界大戦が始まりました。一時的には地域経済を発展させましたが、長期的には国際経済の発展の妨げとなってしまったのです。

GATT

大戦の反省を踏まえ、世界貿易はGATT(関税及び貿易に関する一般協定)によって規律されることになります。 加盟国は他の全ての加盟国に同等の貿易条件を与えること(最恵国待遇)、輸入品と国産品を同等に扱うこと(内国民待遇)などを原則とし、多国間交渉をすることで貿易の流れとなる障壁を撤廃していきました。

GATTからWTOへ

WTOはGATTの下で自由化交渉の対象とされていた分野の拡大を図り、更に従来より存在していたルールの強化に取り組みました。

例えば、GATTは「モノの貿易」のみをその規律対象としていましたが、WTOでは無体物である「サービス貿易」や「知的財産権」に関してもルールを策定し、自由化交渉の対象としています。

他にも輸出国の国内市場よりも低い価格によって輸入国の国内産業に損害を与えている場合に、関税の引き上げができるアンチ・ダンピング措置。輸入の急増によって国内産業に大きな損害を与えかねない場合には、その品目に対して関税の引き上げを行うことができるセーフガード(緊急輸入制限)などが導入されました。

現在WTOに加盟している国と地域は、164にまでのぼり、世界貿易の中枢を担っています。

世界貿易センターとニューヨークの街並み

おわりに

我が国の食料自給率はなんと約38%と非常に低い割合です。これだけみても私たちの生活は貿易に支えられていることが分かります。

また日米貿易問題、TPPなど日本にも様々な貿易問題を抱えています。特に先日トランプ米大統領が訪日した際に、貿易問題に関して安倍首相がアメリカへ大幅に譲歩したのではないかという報道もありました。我々の生活にかかわる貿易問題は今後も重大な争点となりそうです。

参考

DIAMOND online なぜあの時、世界大戦へと突入したのか?今、ざっくり読んでおきたい世界経済史 https://diamond.jp/articles/-/60474?page=7

外務省  Vol.5 WTOドーハ・ラウンド交渉 ~自由貿易体制の共通インフラ強化~ https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics/vol5/index.html

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