4年に1度、オリンピックの年に行われる、アメリカの大統領選挙。
約1年かけて行われるだけあって、そのプロセスは複雑です。
そこで今回は、アメリカの大統領選の仕組みについて、解説したいと思います!
党員集会・予備選挙
まずは、大統領候補を絞り込むため、2月〜6月に党員集会や予備選挙が行われます。夏に行われる全国党大会では各党から大統領候補が指名されますが、その指名を行う「代議員」を州単位で選ぶのが、党員集会・予備選挙です。
これらは全米の50州と首都ワシントンの特別区などで開かれますが、どちらの方法で行うかはそれぞれの州によって決められています。
党員集会
党員集会とは、政党の党員が議論をしながら候補者を絞り込んでいくものです。
こちらは古くからある方法で、具体的な進め方は州や党によって異なります。
予備選挙
予備選挙とは、通常の選挙のような方法で、有権者が投票を行うものです。
民意が直接反映されるため、現在多くの州で採用されています。
各州の有権者は、自分が支持する候補者を支持している「代議員」に投票します。候補者は得票に応じた代議員の人数を獲得し、獲得人数が多い者が有利になります。
全国党大会
7〜8月に行われる全国党大会では、党員集会・予備選挙で選ばれた「代議員」が、共和党・民主党の大統領候補・副大統領候補を決めます。党員集会・予備選挙でより多くの支持を得た人が、正式に党の候補者となるわけです。
ただし、党の大統領候補の指名を受けるには、獲得した代議員数が過半数を超えなければなりません。
本選挙
全国党大会で候補者として指名された者同士が、ついに大統領の座を争うのが「本選挙」です。選挙の投開票日は「11月の第1月曜日の翌日の火曜日」と決められており、2020年は11月3日に行われます。
ちなみに、このような日程になっている背景には、アメリカ合衆国建国当時主要産業だった農業に携わる人にとって、農閑期である11月が比較的時間のある時期であったことや、移動手段が少なかった当時、礼拝がある日曜日の翌日に投票所に移動することが難しかったことなどがあるそうです。
本選挙ではまず、一般の有権者が投票を行います(一般投票)。
一般投票で選ばれるのは大統領候補者本人ではなく、「選挙人」と呼ばれる人々です。
そして、一般投票の約1ヶ月後に、一般投票の結果を踏まえて「選挙人」が大統領候補に投票し、大統領が決定します。
選挙人とは?
アメリカ大統領選において特徴的なものの1つが、「選挙人制度」です。
「選挙人」とは、予備選挙の「代議員」と同じように、どちらの候補者を支持しているかを表明している人です。彼らは、各州での一般投票の結果に応じて大統領候補に投票することになっています。
「選挙人」は各州の人口に応じて人数が割り振られており、総数は538人です。大統領に選ばれるには、過半数の270人以上を獲得する必要があります。
ほとんどの州では、州全体の得票率が最も高い候補者が全ての選挙人を獲得する「勝者総取り方式」が採用されています。これは、その州で1票でも多く票を得た候補者がその州の選挙人を全員獲得するという方法であるため、選挙人の数の多い州で勝てば、数の少ない州で負けてもより多くの選挙人を獲得できます。したがって、人口の多い重要な州をより多く制した候補が有利となると言われています。
このようにして一般投票で選ばれた選挙人が、12月の選挙でどちらかの大統領候補者に投票して、正式に大統領が決まるのです。
2016年の大統領選では下記ような結果となりました。
開票
開票は翌年の1月に行われ、1月20日に正式に新大統領が就任します。
おわりに
ここまで、アメリカの大統領選の仕組みについて解説してきました。
現在、安倍首相が辞任を表明し、次期首相を決める動きが始まっていますが、日本の決定スパンはアメリカに比べてかなり短いことが分かりますね。
それぞれのやり方のメリット・デメリットなどを考えてみても面白いかもしれません。
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