選挙権が18歳に引き下がり、全国の学校に「主権者教育」が求められています。そして同時に学校の先生から「主権者教育のために出前授業に来てほしい」というニーズも増えています(実際にivoteも2018年度は15回出前授業に行きました)。
しかしivoteの独自調査から「出前授業でもできることとできないことがある」「出前授業を担う団体にも限界が見えてきてしまっているのではないか?」という問題が見えてきました。
この記事では、2018年3月23日、24日に開かれた「第6回シティズンシップ教育ミーティング」にて、発表した「主権者教育出前授業の危機的未来」内容をまとめています。
この発表はivoteだけでなくNPO法人Youth Create、NPO法人Mielka、株式会社POTETO Mediaの団体と合同で行いました。
出前授業でできること、難しいことはなにか?
主権者教育出前授業は今後どうあるべきか?
一緒に考えてみてください。
出前授業でできること
授業者が身近な主権者のモデルとなれる
これは先生ではなく学生だからできることと言えるでしょう。
実際生徒からのアンケートでも「同じ若い世代でも政治に興味を持って活動している人がいるんだなと思った」という声は多く書かれています。
依頼や時事に合わせて柔軟に内容を変えられる
政治、選挙の授業なので内容も鮮度が大事。でも普段の授業で使う教科書には昨日のニュースなど載っていませんよね。
先生のリクエストや、学生がビビっときた最近のニュース、なんでも対応した授業を作って持っていくことができます。
主権者教育っぽい内容が2時間でできる
これは実は半分皮肉なのですが、主権者教育の出前授業をすれば「主権者教育をしました!」と言うことができます。
実際にはたった2時間の模擬選挙で主権者ができあがるわけではありません。
しかし確実に「主権者としての自覚を持つきっかけ」「政治に興味を持つきっかけ」とはなるでしょう。
出前授業で難しいこと
生徒が授業前後でどのように変わったのか評価すること
生徒の普段の様子に合わせた授業をつくることが基本ですが、普段の様子が先生の話からなどしかわからず、生徒の反応が当日までわかりません。
また、アンケートはとりますが個々にメッセージを返すことも難しいため、一方通行な授業になりかねない状況があります。
学校、地域、行政、団体の連携
打ち合わせ時間が少なく、目的や目標のすり合わせが中途半端なまま授業を行うことが多くあります。結果的には「まあなんとかなる」のですが、投票率の向上を目指す授業なのか主権者意識の向上を目指す授業なのか目標を一致しきれないこともあります。
また、そもそもこのような外部団体を知らない、どこに依頼していいのかわからない先生も多くいます。
出前授業の質と量の確保
政治の知識も授業作りのノウハウも完璧と言えない学生主体で出前授業を作るのは難しく、出前授業の依頼が続くと徹夜で教材を作る日々が続きます。
できるだけ多くの生徒にちゃんと伝わる授業が作りたい!と思う気持ちとは裏腹に、主力メンバーの大学卒業など「継続性」には大きな課題があります。
今後の主権者教育出前授業は…
ここまで出前授業でできること・難しいこと、を見てきましたがいかがでしたでしょうか?
主権者教育において出前授業は大事!だけど、未来は危機的状況である、ということを考えるきっかけにしていただければと思います。
主権者教育における外部団体の役割とは?
どのような出前授業の在り方が望ましいのか?
みなさんはどのように考えますか?
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